コラム

完全埋設の地下体育館は大きな不良資産

京都市と安田不動産株式会社は、元植柳小学校跡地開発事業で、学校敷地ほとんどを使いホテルを建設する計画です。その南にある植松公園の地下を借地し災害時避難所となる完全埋設の体育館(フロアー面積400m2強)を建設しようとしています。

体育館は学校や会社などの体育施設として多く存在します。一般に貸し出す目的の体育館は、地方自治体など公共団体が所持し市民のリクリエーション目的のものが多く、私企業による営利の貸し出しを目的とするものはほとんど見かけません。

地方自治体は、地表にある体育館に対し市民の健康保持・増進目的で補助金を出し、ネーミングライツを売り、苦労しながら運営しています。
地下体育館の維持は地表のものと比較すると、灯火、空調、換気のコストが高く、地下に溜まる地下水や下水の排水設備や地表との往復のためのエレベーターも必要で、維持費は地表の体育館に比べ極端に高くなります。

安田不動産は、60年間借地する植柳小学校跡地に建てるホテル事業の収益で、隣接する公園に地下体育館を建設・維持管理する計画です。

地下に埋設される建造物は、地下街・地下鉄などの例を見るまでもなく、侵入する地下水や下水の排水のため電力が絶え間なく必要で、カビ対策のための換気も絶やすことは出来ません。短期間でも電力供給を止めると地下体育館は急激に劣化します。

安田不動産が本事業から撤退を余儀なくされた場合、京都市有地である植松公園の地下に体育館が残ります。その際体育館を維持しようとすれば、土地所有者である京都市は、地下体育館の維持のため一刻も電力の供給を絶やせません。電力供給を止めると、ほどなく湿気によりカビが生え、地下水や下水が溜まり周囲の地下水を汚染し、溜まった汚水は悪臭源となる可能性が非常に高いのです。

安田不動産が本事業から撤退を余儀なくされた場合、京都市有地である植松公園の地下に体育館が残り、その維持管理は京都市の責任となり、維持管理及びその撤去に莫大な費用がかかり、京都市の不良資産となる可能性は大きいです。