コラム

元植柳校跡地問題の現況 (2019/11/25)

昨年、京都市は、西本願寺と東本願寺の間にある元植柳小学校跡地活用事業を公募しました。学識経験者・専門家ら6人で構成された選定委員会が非公開で選定し、ホテルを学校敷地いっぱいに建て、学校南隣の植松公園に災害時の指定避難所にもなる地下体育館を建設する案を提案した安田不動産(株)が契約候補事業者に選らばれました。

市民の安心安全の要である京都市が、150年もの間地域住民が慣れ親しみ、地域住民の交流の場である元下京第19番組小学校の敷地を、MICE・ラグジュアリー・タイ資本のとか中身のない修飾語を飾り付けたホテルに、半永久的に貸し出そうとしています。学校敷地の南にある街区公園の地下に体育館設置し、営業中のホテルの2階以上と地下体育館を指定避難所にしようとしました。京都市の防災危機管理室の課長や副市長は、「専門家も地下体育館が避難所になってもよいと言っている」と言います。

ハザードマップに「洪水時は逃げ出せ」と書かれ、地震時には停電でエレベータも動かない地下体育館を災害時の避難所にする案に驚いた我々植柳学区民は反対運動を始め、半年余りで20枚以上の「跡地ニュース」を発行し、学区内の800戸ほどに撒きました。

その結果、安田不動産と京都市は2019年10月1日に地下体育館案を修正し、「自治連合会からの様々なご意見、ご要望を反映し」として、体育館を学校敷地内の2階に建てる案を出してきました。

非公開の会議で事業者を選定した選定委員長は、京都市長あての講評で、地下体育館を避難所として評価し、地下体育館を学校敷地外の公園に建てることで敷地のほとんどを貸し出し借地料が高くとれると評価しています。

提案の主要部分街区公園内の地下体育館を、学校敷地内の地上体育館に変更すれば、京都市の敷地貸付面積も大きく変わり、業者選定における安田不動産の提案への評価は変わるでしょう。安田不動産案を失格にし、他に応募している第2、第3案から選定をやり直すべきです。

提案の主要要素の1つ、公園内の地下体育館建設が、市役所の一部署の意向で簡単に大きく変更できるのなら、有識者による選定委員会を設ける意味がありません。

安田不動産案では学校の校庭が全くなくなります。植柳学区民の運動会、餅つき大会などの催し、テニス、グランドゴルフ、ペタンクなどのサークル活動は、周辺の子供や住民が憩いの場としている学校の南隣の植松公園を植柳自治連合会が優先的に使えると京都市の資産活用推進室は言い、自治連合会の幹部などに幻想を振りまいています。

植柳学区民が公園を優先的、定期的に使うことは市の運営する街区公園の趣旨に反すると思っています。公園は植柳学区民のみならず住民みんなのものです。公園は子供や住民がいつ行っても遊べ、憩える場所です。特に元植柳小学校跡地に隣接する植松公園の周辺の、醒泉、淳風、安寧、尚徳、皆山学区などには街区公園はありません。醒泉、皆山、尚徳学区などにお住いの多くの皆さまは、植松公園で遊び憩っています。現在植柳校のグランドで行っている植柳自治連合会の自治会活動に植松公園を優先利用されたら、子供を含む現利用者は何処へ行くのですか。

植柳学区から先人が開設・維持してきた下京第19番組小学校敷地を取り上げ、運動場を無くし、隣接する「植松公園を学区民の自治活動のための運動場」とする幻想を振りまき、地下体育館や営業中のホテルを指定避難所として提示する案を、京都市は恥ずかしげもなく選定しました。

京都市防災危機管理室発行の「水害ハザードマップ(2019年発行)」の植柳校付近の浸水深さが3m以内であることを基に地表上3mに床面を置くとしていた避難所を兼ねた屋内運動場の床面高さが、11月12日の事前協議会で、京都府建設交通部砂防課発行の「洪水浸水想定区域図」を基に2mと修正されました。府の「洪水浸水想定区域図」は府の管理する鴨川の氾濫のみの浸水域を示すもので、国の管理する桂川など他の河川の氾濫や内水氾濫を考慮に入れていない図です。京都市の防災危機管理室も水害対策はその発行する「水害ハザードマップ」で考えろと言っています。

京都市が作成し災害対策のため広めようとしている「水害ハザードマップ」の情報を京都市の資産活用推進室が否定し、意味の異なる府の砂防課の発行する「洪水浸水想定区域図」を詐欺まがいに使い、強引にホテル建設を押し進めようとしています。

「災害の時に地下の体育館なんか逃げ込めへん、あほなこと言いな」と誰もが言う地下体育館を含んだ提案や、市の発行する「水害ハザードマップ」の情報を否定し、平気で市民に提示する京都市に怒りがこみ上げます。

自治体の最も大切な任務、市民の安心・安全をないがしろにする京都市に怒りがこみ上げます。

「こんな京都市にだれがした」!!!

あとがき:朗報です!!
11月20日門川現市長の定例記者会見・11月13日の「経済問題懇談会」での講演の新聞報道によると、門川市長は「基本的に市内の宿泊施設は足りている。これ以上増え続けると劣化や過当競争を引き起こす恐れがある。あらゆる手段を用いて取り組む」(出典:毎日新聞)と言っています。

市長:市有地(学校跡地)をホテル建設に貸し出す契約に署名捺印はしないでしょうね。